ACID ANDROID LIVE 2019 #2 F.A.D YOKOHAMA

2019.11.3(sun)

ACID ANDROID LIVE 2019 #2

F.A.D YOKOHAMA

 

 

 

 

前回のツアー「LIVE 2019 #1」最終公演のEX THEATER ROPPONGIから約半年が過ぎた11月3日、待望の「LIVE 2019 #2」が始まりました!

記念すべきツアー初日の会場となったのはF.A.D YOKOHAMA。オフィシャルHPによるとスタンディング380人という、こんなに小さな箱であの世界的モンスターバンドのメンバーを見ていいのかと恐縮してしまうレベル。

3連休の中日ということもあり、すぐそばの中華街には大勢の観光客。今にも雨が降り出してきそうな曇天の下、今日のライヴを楽しみに各地から集まってきたお客さんたちが思い思いに開場時間を待っています。

 

私自身この会場に来るのはこの日が初めてでした。整理番号は200番でしたが、この時点でもまだ1番ずつ呼び出しをしてくれていました。

チケットを見せドリンク代を支払い、建物内部に入っていくと、すぐ目の前がフロア。てっきり地下に潜るものだと思っていたので若干動揺。

 

とにかく天井が低く、より一層狭く感じる場内。ステージ上にあるはずのドラムセットやギターアンプ等は当然の如く見えません。

しばらくしてスタッフさんがマイクスタンドをステージ中央に設置しましたが、これもやっぱり低い。ステージそのものが低いということもあるのでしょうが、今日のyukihiroさんはヒールのない靴なんだな、と多くの方がここで察したはず。笑

 

じわじわとBGMが大きくなり、暗転してもなお鳴り止まない。KAZUYAさんと山口さんが登場しそれぞれの持ち場に着いてから、そっと音が止みました。

yukihiroさんが現れるまでの間は、普段の何倍も時間がゆっくりと流れているように感じます。

きっとこの後出てくるはず、だけどまだ来ない。まだ来ない。今日はどんな衣装で、どんなメイクなのか。まさか髪型が変わってる?期待値が頂点に達した頃、上手側の最前辺りから歓声が上がり、いよいよその時が来たことをフロア中に伝えます。

 

Today's yukihiroさん is 白シャツ。ジーザス🤦‍♀️

 

そういえば前回の初日さいたまも白シャツでしたね…。yukihiroさんが白い服を着ることはさして珍しいことでもないはずなのに、白シャツyukihiroさんを目の当たりにしたときに沸き起こるこの感情は何なんでしょう。恋…かな?

 

まるでコーティングされたかのように表面がツヤツヤに整えられたストレートヘア(でもぴょんぴょんと跳ねる毛が数カ所あったのも見逃さなかった)、眉山がキチッと取られたやや細めの眉、目の輪郭を強調するアイライン、一番上までボタンが閉められたシャツ。

yukihiroさん…ギャルだ……

いや、お召しになっているお洋服はギャルとは程遠いハイファッションなものなんですが、遠目には髪型といいメイクといい白いシャツといい、一昔前のJKみたいに見えたんですよね。50歳男性であの容姿って本当にすごい。

 

1曲目に選ばれたのは、echo

予想ではintertwineだったのですがあっさり外れました。アルバムの1曲目を持ってくるとは王道ですね。じっくりとACID ANDROIDの世界を会場内に広げていきます。

事前に用意されていたマイクスタンドをそのまま使い、鋭く前を見据えながら歌っていく。

照明がしっかりと正面を照らしていることが多く、比較的お顔をよく拝めました。硬めの表情ですが、緊張しているというよりは曲の世界に没頭して、その表現に徹底している感じ。

 

「個」や「素」などの要素を一切排除して、「ACID ANDROID」という存在や曲そのものをシンプルに再現することにすべてを注ぐ。その徹底っぷりはまるで機械のように正確で隙がなく、純度の高さは他のライヴとは比べ物にならないのではないかと個人的には思っています。目指すところが明確だから、ブレが少ない。

名は体を表すとはよく言ったもので、yukihiroさんのソロプロジェクトの名義として「ACID ANDROID」以上にしっくりくるものはないですよね。与えられた任務を忠実に遂行するアンドロイド。ライヴで私たちの前に立つyukihiroさんはまさにそれです。

でも、本当にアンドロイドであるわけではないから、随所でyukihiroさんの人間らしさを見られたりするわけです。それはくしゃっと顔を歪める表情だったり、仰け反って声を振り絞る姿だったり、感情のままに動かされた手だったり。

まるで機械であるかのような人間離れしたオーラと絶対的な存在感、一方で、本人の体温が観客ひとりひとりの肌に伝わってきそうなほどエネルギーに満ちたパフォーマンス。

相反する二つの要素がお互いを干渉せずに奇跡的なバランスで成り立ってることが、ACID ANDROIDのライヴにおける最大の特徴であり、多くの人を虜にする要因なのだと思います。完璧に作り込まれた世界がステージ上にはあり、その世界の中のひとつのパーツとして存在するyukihiroさんが、突然自分自身の感情をむき出しにする。統率の取れた状態と想定外の状態とが目まぐるしく入れ替わる様を見ていると、これ以上ないくらいの興奮が体の中を駆け巡ります。 

 

えっと・・・レポどこいった????笑

 

低い天井・満員の会場・人の頭越しに見えるyukihiroさん・ライトに照らされた空気中に舞う埃。そんな景色が広がっていたので、久しぶりに「ライヴハウス」らしさを強く感じ、無骨な環境の中でもyukihiroさんのかっこよさは霞むどころか、より一層輝いて見えたのでした。

また、いつもの如く私は手元ばかりを見ていて、マイクを掴みにいく右手のかたち(中指と薬指の間を広く空けて、その隙間でマイクを挟み込む)に異様なまでに興奮しておりました。

 

マイクスタンドを後ろに下げ、ハンドマイクで歌ったintertwine

顔と同じくらいの高さでマイクを持ち、手首を返してケーブルをしならせる。なんてことない仕草なのにあまりにかっこよく、その一瞬の光景が頭に焼き付いてしまっています。また別の瞬間には、顔にかかった髪の束を、ゆっくりとした動きで左手の小指を使い払う。小指で髪を払うのはよくやるのですが、手のひらを広げた状態だったというのがもうツボすぎて、しかも目線はまっすぐにお客さんを見つめたままで、溢れ出る色気が!恐ろしい!!

 

ツアー初日のいいところは、セットリストに驚きを感じられる点ですね。3曲目にやった曲には「おっ!」となりましたし、4,5曲目は思いの外出番が早かったなと終わった今となっては思います。

GARDEN曲のメロディから漂う儚さ・やるせなさ・退廃的な美しさと、ドラマーyukihiroさんの存在を強く感じる、計算され尽くしたリズムの融合はただただ心地よくて、いつまでも体を揺らして聞いていたくなります。

 

再びマイクスタンドを中央に置いて歌い出したrosesでは、マイクを握る手に、また、一つ一つ言葉を発する瞬間の表情にこれまで以上の力が込められていて、ますます心が惹きつけられました。右手の指が小刻みに震えながらマイクから離れていく瞬間なんて、まばたきどころか呼吸すら忘れて食い入るように見つめてしまいました。

 

崩れ落ちそうになるのを必死に堪えたunsaid

やってくれたらいいなあとは思っていましたがライヴ中はそこまで考えている余裕がないので、イントロが聞こえてきたときは嬉しさのあまり項垂れました。この曲に関しては好きの度合いが別次元にいってしまっているので、「イエーーーイ!!」って手を挙げて喜びを表現するのではなく、声すらも出せずに、額に手をあてるポーズをナチュラルにかまします。隣りにいた男の人に変に思われただろうなあ。でも、いつも一緒にいてくれる相方さんが手を握ってくれたのでとても嬉しかったです。

 

ツイッターでも書きましたが、この曲のパフォーマンスにおける進化っぷりが凄まじいことになっていました。

ここ数年ライヴで披露されるたびに、「歌」として表現することにyukihiroさんが神経を使っているであろうことが見ている側にも伝わってきたのですが、その完成形をこの日目撃してしまったように思います。

たった3つの単語をひたすら繰り返す。無機質になってしまいがちなこの曲に、これほどまでに生気を与える歌い方ができるのかと心底驚きました。

息遣い、言葉の余韻。まず、声に詰め込まれた情報量がものすごく多い。続いて、マイクに向かう姿勢。両手でマイクを握り、上半身を時折くねらせながらメロディに声を乗せる。歌い終わるとまるで何かを振り払うようにスパッとマイクから手を離す。歌ってる最中と歌い終わった直後の緩急の差が、恐らく私が今まで見てきた中で一番大きかったと感じます。

そんな躍動的なyukihiroさんの姿とは対照的な、オレンジ色の薄暗い照明。曲に連動するでもなく、ステージをうっすらと照らすだけ。そのギャップがまたかっこよくて。こんなステージを見せてくれるのはACID ANDROIDしかいません。本当に大好きです。このままセットリストに常駐してくれますように…🙏

 

目を閉じて歌い、ドラムに合わせて腕を振り下ろす。ボーカリストとドラマーという二つの顔が交互に現れたashes。曲間でマイクスタンドを後ろに下げ、正面に振り向いたタイミングで流れてきたのはswallowtail。やっぱり9,10月の対バンのセトリのハイブリッド型となりましたね!小林さんのギターはとても力強く音の洪水のようでしたが、KAZUYAさんのギターは一歩引いたような大人しさ。静かに色を添えるといった感じでしょうか。

そしてyukihiroさんの声がどこまでも伸びやか。歌詞の情景が頭に思い浮かぶような、優雅で抑揚のきいた歌声。

"why does the sun still stare in anger"のフレーズが特に好きです。the sunの伸びが最高。

 

あんなに狭いライヴハウスでも一気に解放的な気分になれるchillは、曲そのもののポテンシャルがとんでもなく高いのでしょう。

最初からマイクスタンドがない状態だったのは久しぶりだった気がします。曲中に二度も左手をまっすぐ前に差し出してくれて、その意図を私たちが知ることはできないけど、その動作があることによってyukihiroさんが私たちの存在を認識してくれてるのだと確信できる。それだけで十分幸せです。

しかしこの日はyukihiroさんがしっかりお客さんを見て、特定の人に対して手を伸ばしたり合図を送ってるように見えたんですよね🤔確かにyukihiroさんの視線の先あたりにいたお客さんたちはすごく盛り上がっていたので、それを受けての行動だったのかも。今後ももっともっと盛り上げていきたいですね。

 

gravity wallはとにかくライヴ映えする曲。フロアもだいぶ燃えてました。chaotic equal thingに通ずるものがあります。興奮がじわじわと高まっていって、爆発寸前まで膨れ上がる。ここからライヴも後半戦に突入です。

最後、ザンッと斬り捨てるように曲が締まるのですが、KAZUYAさんのかき鳴らしたギターがとてもロックでハッとするかっこよさでした。あの優しげな見た目で突然荒々しい音を鳴らすのがずるいです。大阪か熊谷ではKAZUYAさんじっくり見れたらいいなあ。

 

カラフルなライトがとても鮮やかだったlet's dance。ひとつひとつの色がとてもクリアに発色してました。お客さんを煽る左手の動きは自分の立ち位置の問題でほとんど見えなかったのですが、たまたま見えた動きがアン●ーンチ!的なグーパンチで完全に不意打ち食らいました。

赤と緑の妖しげな照明を携えてのdazeは怖いほどかっこよく、ステージ中央に立つyukihiroさんは時折視線を左右に振って、フロアの様子を見渡していました。

 

と、ここまでは割と落ち着いてライヴを見られていたのですがこのあとの怒涛の展開で完全に吹っ飛ばされました。物理的にも、精神的にも。

なぜなら聞こえてきたのは予想すらしていなかったegotistic ideal。イントロのドラムがアレンジされててかっこよすぎます。同時に、煽り効果がものすごく高い。そしてyukihiroさんが歌い出すとお客さんが一斉に前へ押し寄せ、サビに入るころには、右へ左へ人が流れるほどの圧縮状態。yukihiroさんは至ってクールな面持ちですが、左手をかざす回数が明らかに増え、その手めがけて突撃していきたくなる衝動に駆られます。

意図的に左手をグーパーグーパーと動かして遊んでたような?間近で被弾していたら完全にアウトです。

そしてviolent paradeなんて続けられた日にゃ、こちとらもう人としての形を保っていられません!フロア中央あたりで雪崩が起きたりと久しぶりにカオス。yukihiroさんの姿はすっかり見えなくなってしまいましたが、隙間からチラッと見えたときのギラついた目は肉食動物のそれでした。

最後にviolatorをやったはずなのですがほとんど記憶がありません。笑

egotistic ideal→violent paradeの流れがこれほどまでに強烈だとは思ってもみませんでした。

歌い終わるとスタンドにマイクをきちんと戻し、フロアに向け手を挙げてからはけていかれました。

 

太ももの裏を汗が流れていく感覚を味わったのはいつぶりでしょうか。

単純に小さい会場だから暑かったというだけではなく、ツアー初日ならではの熱がステージからもフロアからも発生していたように思います。

今回は非常にタイトなスケジュールで行われるツアーのため、一週間後の11月10日にはもう最終日を迎えてしまいます。しかしその前には2日連続での名古屋・大阪公演というこれまた熱い展開が待っています。

最小キャパの名古屋UPSETがどんな内容になるか楽しみにしつつ、大阪に向け準備を進めていきます。

 

ツアー初日お疲れ様でした!